ピアジェの「発生的認識論」

ピアジェの「発生的認識論」
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バタコーチです。

とあるサッカー情報サイトを見ていたら「ドラゴン桜」という漫画が紹介されていました。端的に言えば、つぶれる寸前の高校を立て直すため、弁護士が生徒を指導して東大合格を目指す、というものです。この話の中には「目的を達成するための手法」や「どのような声かけが有効なのか」などサッカーコーチングにも繋がることがとても多く取り上げられていました。私がドラゴン桜を読んで、更に色々と掘り下げて調べていく中で見つけたのがタイトルにある”ピアジェの「発生的認識論」”です。

ピアジェの「発生的認識論」は、子供の精神的発達を段階的に整理したものだと解釈しました。私が理解した内容で簡単にまとめてみます。
※あくまでも私の理解であるため、誤った解釈があるかもしれませんがご容赦ください。
※カッコ内の年齢は目安として捉えています。

感覚運動期(0~2歳)

<特徴>
■循環反応
⇒ビニール袋を触ったら面白い音がしたので、何度も繰り返し触ってみるような行動
■対象の永続性
⇒見ているものに布を被せて隠しても、存在自体はなくなっていないと認識すること
■模倣行動
⇒人のまねをすることから、お飯事のような記憶の中の出来事などを模倣すること

この時期に言えることは認知の広がりでしょうか。子供にとってすべてが経験のないことで、何でもやってみたいと感じているようです。

前操作期(2~7歳)

<特徴>
■自己中心性
⇒相手の立場で想像することができず、自分の知っていることは当然相手も知っていると思い込む
■中心化
⇒太い透明なコップから細長いコップに水を移し替えたら量が増えたと思いこむ
■実念論
⇒自分の見えているものが絶対的だと思い込む
■アニミズム
⇒非生物にも人間のような思考や感情があると思い込む
■人工論
⇒自然物も人間が作ったと思い込む
■象徴的思考(2~4歳)
⇒目の前にないものを思い出して絵に描くことができる
■直観的思考(4~7歳)
⇒空想的な思考から論理的な思考をするようになる

共通することは「思い込み」ですね。自分の世界観が強く主張の激しい時期ということかと思います。また、4歳以降になると、大人の常識のようなものが認識できてくるようです。丁寧に簡単に説明することで分かってくれるようになるのも、このころからってことですね。

具体的操作期(7~11歳)

<特徴>
■論理的思考
⇒目に見えているものに対し、動きの予測ができるようになってくる。実在しないもののイメージは難しい。
■保存の概念
⇒コップに入った水を別のコップに移し替えても量や数は変わらないことを認識している

だんだん大人の思考に近づいてきました。サッカーにおいて考えると「観る」「判断する」「決断する」「行動する」という
認知判断ができるようになってくることが分かります。小学生に上がるころから、個人戦術を取り入れるのは理に適っているのではないでしょうか。
※個人戦術:私の認識ではサッカーの根幹にある目的「ボール」と「ゴール」に対して「自分」がどうするべきか判断の入ったプレーのこと。ドリブルをしてボールを奪われないためにどう運ぶか、とか、ゴールを奪うためにどこでパスを待つべきか、など。

形式的操作期(11歳〜)

<特徴>
■抽象や仮定
⇒実在しないものをイメージして思考できる。
例として、AさんとBさんではAさんの方が大きいです。BさんとCさんではBさんの方が大きいです。一番大きいのは誰ですか?というような問いに回答することができる。絵などを書かないとイメージできない子は、まだこの段階に来ていない。

この段階になると将来について考えたりすることができそうです。夢を実現するために、自分が何をするべきか考えることができるので、周りの環境によって思考力に大きな差が出る年代のような気がします。大人は、子供が自分で考えて行動するように促すことが大切ですね。

全体を通して

私が感じたことは2点あります。

1.身体的には、およそ年齢プラスマイナス2歳ほどの個人差があると言われています。10歳であれば8歳程度の身体の選手~12歳程度の身体の選手、ということですね。同様に精神年齢についても言えるのではないでしょうか。個人個人で到達している精神年齢が異なることを私が自覚して選手に適切なアプローチをしなくてはいけないな、と感じました。

2.子供のときにどんなに成長は早かろうと遅かろうと、20歳頃には誰もが成長期を終えて完成します。大切なのは子供時代の成長度合いはあくまでも過程である、ということです。特に小学生年代で他人と比較することはナンセンスだと思っています。

では