JFAサッカー指導教本2020 第三章:プランニング③
バタコーチです。
今日は、JFAサッカー指導教本2020 第三章:プランニング、その3です。
第三章:プランニング
前回の続きで第三章の12項のうちプランニングの考え方にフォーカスした第11項から第12項までを紹介します。
11.トレーニングオーガナイズの考え方
1.トレーニングオーガナイズとは
選手にトレーニングを行う「場の設定」をトレーニングオーガナイズと定義しています。良いオーガナイズとは取組むだけで改善したいプレーが頻発し、選手が自ら気づき、良いプレーを発見できる、そのような設定が良いとされています。この点については反対する人はいないと思いますが、これを実践することはとても難しいです。想定通りに行かないことがほとんどですので、選手の反応や表情などを観察して、選手が夢中になってトレーニングのテーマになっている課題に取り組めるように修正していくことが必要かと思います。
2.安全への配慮
安全に関する点で幾つか例があがっています。
・ゴールが倒れないようになっているか
・グリッド間の距離が十分か
・選手がゴールなど周りの障害物にぶつからないか
・選手の配置、人数は適切か
・シュートの軌道上に選手がいないか
ゴールの数が限られていると、前の選手が残っているのに次の選手がシュートを打って顔面に直撃する、というような光景は良く見かけます。また、あえて狭い状況を作ることもあるでしょう。100%安全という環境を作ることは難しいですが、できる限り安全を考慮したオーガナイズを考えるようしないといけないな、と感じました。
3.場所
ここでは「練習場所をピッチのどこに設定するか」ということが記載されています。この点について多くのチームでは実践することは難しいのではないでしょうか。ピッチの中でサイドにグリッドを作って、試合の中のどのシーンを再現しているのかイメージしやすくするというようなことですが、練習スペースを十分に確保できる状況でないといけません。狭いスペースの中でも、選手に試合の中のどのようなプレーを意識したトレーニングなのか理解できるようなオーガナイズにしたいですね。
4.方向(攻撃方向)
トレーニングの目的に攻守がある場合(ほとんどそうだと思いますが)ゴールを設置して方向を明確にした方が選手にはわかりやすいです。ドリルトレーニングでもゴールを設定することで攻撃/守備の方向が意識できますので、是非取り入れたい要点だと思います。
5.ゴールの設定
ラインゴールを設定すると1対1の状況や運ぶドリブルの頻度が増え、ゴールを複数にすると判断の機会やターン、角度を変化させたドリブルが増えます。ゴールの設定によって選手がいつもと違うプレーを選択するようになりますので、トレーニングの目標にあったゴール設定をすることは重要ですね。
6.ピッチ・グリッドの形の違い
横長:幅を使った攻撃とそれに対する守備
攻撃の意図的なサイドチェンジと守備のスライドが増える
縦長:厚みを意識した攻撃(縦パスが増える)とそれに対する守備
グリッドの形によってプレーが変わってくることを知っているだけでゲームの設定が大きく変わってくるかと思います。なぜその形なのか説明できるように考えて設定していきたいですね。
7.ピッチ・グリッドの広さと選手の人数
基本は実際のゲームのプレーと同じような状況の広さと人数になることが望ましいとあります。傾向としては人数に対し広くすれば攻撃有利、狭くすれば守備有利になります。トレーニングのテーマに合わせて大きさをコントロールする必要があるかと思います。
8.ルール・プレー条件
選手に習得させたいプレーが多く出るように工夫が必要です。複雑にしすぎると選手がルールを気にしすぎてプレーを楽しめなくなりますので、シンプルであることが一つの条件になりますね。よくあるプレー条件としてはタッチ制限です。プレー頻度が増える一方タッチ制限に気を取られ状況判断が悪くなるという欠点があるとのことです。素早い状況判断を目的にタッチ制限を設けることがありがちですが逆効果ということですね。私も気を付けたいと思います。
9.グルーピングとローテーション
トレーニングにおいて誰と誰をチームにするか、誰と対戦するか、ということは重要です。チーム内にも実力差や選手の課題は異なりますので、より相乗効果が見込めるグルーピングを考慮していきたいです。
ローテーションについてはドリルでのスタート地点に戻る導線をどうするかや、プレーしている選手と休憩している選手の入れ替え、攻撃選手と守備選手の入れ替えについてです。具体的にどうすれば良いかの記載はありませんでしたが、プレーする中を歩いて戻ってくると危険ですし、安全対策くらいはきちんと考慮したいと思いました。
10.プレー時間と回数
プレー時間と回数によって選手へのプレー負荷が全然違ってきます。選手の人数を考慮してトレーニング終了時にやり切った状態になるように考慮していきたいです。
11.用具
用具は予め用意しておきます。練習の効率を考えると当然の部分ですが、有名サッカースクールを見るとこの点は素晴らしいですね。選手が給水している僅かな時間で次のトレーニングの準備が整っています。私もスクールのような無駄のない効率の良い準備を心がけたいと思います。
12.トレーニングオーガナイズの種類
1.ゲーム
通常はその日のトレーニングの成果を確認する場として実施することが多いです。リアリティが高いためトレーニングした状況が再現されない可能性が高いです。
2.スモールサイドゲーム
通常のゲームより人数やピッチを減らして行うゲームです。ゲーム形式よりテーマに焦点をあてた設定にしやすいですがゲーム形式よりもリアリティに欠けます。
3.グリッド
コーンやマーカーなどでエリアを区切ってプレーします。ゴールは設置せず、選手/ボール/スペースが存在します。ゴールがないため攻撃側はボール保持、守備側はボールを奪うことが目的になります。ミドルサードでのプレーに課題があるときには適しているかもしれません。
4.ドリル
相手がいない状況で自分とボールだけの関係でプレーを行います。ボールコントロールテクニックの習得を目的にします。神経系に利くトレーニングだと思いますので、U-12年代では多く取り入れてもいいかもしれません。
5.シャドウ
決められたプレーパターンのトレーニングです。プレースピードを落としたり、相手選手をダミーとして置くなど、リアリティを削って戦術理解に目的を置くことになります。プレーのイメージができる年代であれば効果的だと思いますが、低学年には向きませんね。
6.ワンウェイ
攻撃側と守備側を分けてプレーします。基本攻守の切り替えはありません。攻撃・守備でそれぞれにテーマを持たせることが可能でオーガナイズを工夫することで、攻撃側・守備側のどちらに負担をかけるのかコントロールもやりやすいです。よくあるメニューとしてはコーナーキックやフリーキックの練習でしょうか。
これで、第三章:プランニングはすべて終了です。先の分析とプランニングをより深く研鑽して、より良いオーガナイズを提供できるように精進したいと思います。
では。
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